Now Reading: 「三浦半島だからできること」を形に。地域課題を事業の種へ。【三浦半島みらいミーティング】

Loading
svg
Open

「三浦半島だからできること」を形に。地域課題を事業の種へ。【三浦半島みらいミーティング】

2026-03-27Knot

都心から約1時間という好アクセスながら、豊かな自然や食、多彩なアクティビティを満喫できる三浦半島。横須賀や鎌倉、逗子、葉山、三浦など、魅力は地域によってそれぞれだ。そうした各地域ならではの特性を生かした活性化に意欲のある事業者らがさまざまなテーマでディスカッションを行う「三浦半島みらいミーティング」が、令和7(2025)年度も開催された。今年度も、地域課題解決や活性化を目指す事業者・団体等が「定例会」に参加し、新たな連携事業創出の土壌づくりに取り組んだ。本記事では全6回の定例会の様子を紹介する。

人口7000人の町の挑戦が三浦半島の刺激に

「地域と事業のシナジーを考える」と副題がつけられた第1回定例会では、長崎県・東彼杵(ひがしそのぎ)で地域活性事業を手掛ける森一峻さん(一般社団法人東彼杵ひとこともの公社・代表理事)が同社の取り組みを先進事例として発表。森さんの発表を起点に参加者らは自らの事業と地域資源の活用などについて対話しながら地域活性化の可能性を探った。
登壇した森さんは出身地である東彼杵町へUターンし、同町をはじめ長崎県各地域のコーディネーターとして住民と連携した地域・文化づくりに取り組んでいる。
2015年、解体されそうになっていた古い米蔵をリノベーションした地域交流拠点『Sorrisoriso 千綿第三農協米倉庫』をオープンし、カフェや菓子店、食堂などに地域内外から人が集う施設に成長させた。セレクトショップの運営や移住者支援、空き家の活用など、人口約7,000人の「過疎と高齢化が進む」はずの同町で森さんが取り組んできた事業について参加者は耳を傾けた。
三浦半島の各市町に比べて町としての規模が小さい東彼杵の成功例は参加者を勇気づけたようだ。会合終了後は「さまざまな分野の魅力がある三浦半島こそ活性化のチャンスがあるのでは」「『しなければならない』ではなく『したい』の気持ちを大切にしたい」と前向きな声が聞かれた。

U25の熱量が地域を盛り立てる

第2回と3回は「U25と考える!三浦半島のデザイン会議」と題した前後編のワークショップを開催し、学生や若手起業家ら約10人が集まった。前編で三浦半島の課題や地域が持つリソースについて話し合い、後編では全編のディスカッションを踏まえたプレゼンテーションを行った。
両日を通じて三浦半島を拠点に地域に関する活動を行う学生団体が参加し、それぞれが構想する地域事業の具体化に向けて意見を交換した。前編では横須賀・三浦両市を中心に話題が展開し、冬季における海岸の活用策や、各地域の盛り上げマップの作成などのアイデアも飛び出した。
後編では前編の話し合いを踏まえ、学生団体・サークルが三浦半島で出来る地域おこし事業についてプレゼンテーションを行い、グループごとに意見を出し合った。話し合いの中では、近隣の藤沢市で行われているイベント等を参考に、「ただ真似するのではなく、三浦半島だからこそ何が出来るのか」「ローカルはローカルのままでいた方が良いのでは」など、活発に意見が飛び交った。終了後、大学生の参加者からは「U25に焦点が当てられることで意見が言いやすかった」という回答も寄せられ、有意義な時間を過ごしたようだった。
第4回は地域事業でも活用できるAIテクノロジーについて、AIを活用したブランディング支援を軸に活動中の西植弘氏から学んだ。
当日は講義に加え、参加者それぞれのAI活用状況を共有し合い、「実際にどのように使っているのか」「どんな場面で活用できるのか」を具体的に掘り下げた。必要に応じてAIのデモンストレーションを行いながら、自身の事業にどう応用できるかをその場で対話的に検討する時間も設けた。
西植氏は、AIをとりわけ意思決定や実務を担う30〜40代の経営者こそ積極的に活用すべきであるという視点を提示。単なる効率化にとどまらず、事業の可能性を広げる手段としてのAIの活用について理解を深める機会となった。

「個」の情熱を「まち」の力へ

「このまちでつながる・つくるコミュニティ~事業拡大の構想がある経営者編~」と題した第5回の対象は、三浦半島ですでに事業を展開しており、事業の拡大や第二創業・多拠点展開を検討している事業者。地域で活動する先輩経営者に対し自社の構想や課題を“壁打ち”しながら、専門家・他経営者との対話を通じて新たな視点・共想の糸口を探った。
同日はゲストとして山口県周防大島町にある手作りジャム専門店『瀬戸内ジャムズガーデン』を営む白鳥匡史さんが登壇。内閣府の「地域活性化伝道師」に登録されている白鳥さんは、従来の6次産業化を発展させ、地域の所得向上と雇用創出を目指し、ジャムづくりを起点に、空き家のリノベーションを通した移住促進や小中高と連携した起業家教育にも取り組む。
軸をぶらさず、自分のできる形で他者やまちを巻き込んでいく、白鳥さんのコミュニケーション能力とチャレンジ精神には参加者も刺激を受けたようだった。

三浦半島で生まれた“次”につながる出会い

そして2月28日、最終回となった第6回は「このまちでつながる・つくるサミットin三浦半島2026」でここまで活動を報告。神奈川県が同時並行で行っていた「地域コーディネーターアカデミー」「好きなまちで仕事をつくるin三浦半島」「MIURAHUNT!」「リソースシェアin三浦半島」など、さまざまなきっかけで三浦半島に関わった人材や事業者との交流が育まれ、“次”につながる出会いが生まれた。
全6回の定例会を通じ、参加者は「このまちを盛り上げたい」という共通の熱量で結ばれた。先進地の知恵や若者の柔軟な発想、最新のAI活用を掛け合わせ、地域課題は具体的なビジネスの種へと昇華した。ここで芽生えた繋がりは、今後の三浦半島を動かす原動力となる。定例会は一区切りを迎えるが、それぞれの「したい」を形にする挑戦は、ここから各地で力強く続いていく。
Staff Credit
Written by Kaito Nakahigashi
svg