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「魅力はある」それを知ってもらうには?地域を発信するSNS戦略【三浦半島みらいミーティング①】

2025-02-05Knot

三浦半島地域の活性化に意欲のある事業者がさまざまなテーマでディスカッションを行う「三浦半島みらいミーティング」が開催されている。
2024年10月に実施された第1回のテーマは「情報時代におけるSNS戦略」。現代人が生活する上で欠かせない存在となった、SNSの地域振興に際した効果的な活用法について、動画・SNS・WEB広告等を駆使した広告企画・運用を行う株式会社うけざら CEO・松本知佳子さんが解説した。

『発信』が持つ無限の可能性 。媒体の特徴を掴んで効率的なPRを。

現代社会で必須となったスマートフォンやPCといった情報端末。使用者はそこから得た情報をもとに、未来の行動を決めていく。その行動は『購買』、口コミを見ることによる『認知評価』、『コンテンツ鑑賞』、『コミュニケーション』などさまざま。
ここで大切なのは『消費者の行動習慣のほとんどがWEBで行える時代になったこと』だと松本さんは力を込める。これまでは消費者へ情報や自社商品を伝るために、直接出向いたり、広告を出して宣伝したり、実際に店舗を設けたりしていたことが、現代はWEBの活用で誰もが平等に発信のチャンスを持つようになった。
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しかし、無闇に発信を続けても大きな効果は見込めない。『媒体の特徴を理解し、発信手法を試行錯誤することが肝要』だと松本さんは語る。 
リアルタイム性と拡散力の高い『X』、視覚効果で認知拡大やファンの獲得が見込める『Instagram』、若年層の利用率が高く、レコメンド機能によりターゲットとコンテンツのマッチングに定評のある『TikTok』など現在SNSサービスは乱立状態で、有効な活用法について悩みを持つ人も多い。受講者は20代から60代以上と幅広い世代が揃ったが、それぞれの媒体の特性について体系的に学べる機会は少ないため、熱心に耳を傾けた。 
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認知の拡大にあの手この手。実際の成功事例から学ぶ

SNSの活用の概要を学んだ次は、実際にまちの魅力をInstagramで発信している事例を松本さんが紹介した。
1つ目の事例は、町田・相模原の地域と受験生への認知度アップを目的に、Instagram(@machida.gurume)でエリアのグルメ情報を発信している町田市内の調理師学校。継続的に発信することでグルメに関心のある層からのフォローを獲得し、学校のイベントや出店情報をPRすると大きな反響が得られたという。地域のグルメアカウントとのタイアップ投稿で協働し、共に街を飲食の側面から盛り上げる体制も構築できた。
2つ目の事例は、島根県で地方創生に取り組む『島根。をプロデュース』。短い尺の“リール動画”で地元を自虐的に取り扱いながら魅力と島根愛を発信。開始約半年、42件のコンテンツで1万人以上のフォロワーを獲得した。短くまとまったインパクトのある動画で投稿の拡散と認知の拡大につなげ、事業者とともに島根を応援したくなるファンを生んだ事例だ。
いずれも認知の拡大をInstagramの活用で行ったが、グルメ関連記事の写真との親和性やキュレーションしてユーザーを巻き込むことができる写真中心の投稿と、実際の生活や暮らしを生っぽく見せていくことで共感を得られる動画中心の投稿とで、手法に違いがみられた。

実践!湯河原のゲストハウスをInstagramでPRするには?

松本さんの講演を踏まえ、受講者は実際のモノ・サービスを使用して現状課題の整理、より良くするための施策を考案するワークショップを実施した。題材は湯河原市内のゲストハウス。先に挙げた2例のようにInstagramを活用してどう施設をPRするか。認知向上、地域でのつながり強化などの目標設定、そのためのターゲット設定、投稿やアカウントのトーン・イメージの設定などを行い、フィード投稿、リール動画、ストーリーズ、広告運用などの手法を検討するなど、『何を』『誰に」『どうやって伝えるか」、理論から突き詰めてアイデアを考案した。
20代の受講者は同施設の『落ち着いた雰囲気』とサウナやバーベキューを楽しめる「設備」に着目。ユーザーからの認知を増やすためにリール動画を発信し、動画はセリフ等を極力排除し自然音を活用したもので、自然に恵まれた環境の中で若者複数人がリラックスする様子を映すことで、実際に利用するイメージを膨らませてもらうアイデアを発表した。
さまざまなアイデアが飛び出したのち、松本さんが呼びかけたのは『PDCAサイクル』の実践。手法に正解はない。だからこそ、企画→実施→振り返り→改善を繰り返すことで、発信の継続につながることを説いた。
現代人に欠かせない生活ツールであるSNS。『誰もが発信者になれる時代』であることを自覚しながらも、活用法を打ちあぐねていた受講者も多かったようだ。媒体の選択から投稿の手法、コンテンツのトーンなど、細分化すると様々な要素の上に戦略が成り立つことを学び、早速自らの事業に還元しようと周囲でアイデアを出し合う姿も見られた。次回は『食』の観点から三浦半島の活性化について実践を通して学んでいく。
Staff Credit
Written by Kaito Nakahigashi
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