海・山などの自然や、軍港や近代建築といった文化資源など多様な魅力を有する三浦半島。その豊富な資源を最大限活用するため、地域内外のヒト・モノを繋いで新たな価値を生み出すことを目指す事業者らが集まり、その手法を学ぶ「三浦半島みらいミーティング」が開講されている。
2025年2月15日に実施された第7回のテーマは「三浦半島の自然の豊かさを伝える プログラムオーナー連絡会議」。三浦半島のわくわくする自然環境を舞台に活動するプログラムオーナーが“ゆるやかな連絡会”として繋がることで、三浦半島の豊かな自然環境を「知ってもらう/体験してもらう/価値を育む」機会を共に増やすための連絡会議が開催された。本回は、今年度開催している「地域コーディネーターアカデミー」の受講生企画として、企画コンセプト設計やゲストとのコミュニケーション、当日運営など受講生がチームとなって行った。
2025年2月15日に実施された第7回のテーマは「三浦半島の自然の豊かさを伝える プログラムオーナー連絡会議」。三浦半島のわくわくする自然環境を舞台に活動するプログラムオーナーが“ゆるやかな連絡会”として繋がることで、三浦半島の豊かな自然環境を「知ってもらう/体験してもらう/価値を育む」機会を共に増やすための連絡会議が開催された。本回は、今年度開催している「地域コーディネーターアカデミー」の受講生企画として、企画コンセプト設計やゲストとのコミュニケーション、当日運営など受講生がチームとなって行った。
各分野のプロをゲストに招き、 地域内外の人をつなぐ場を創出
三浦半島の自然環境を舞台に活動する4人をゲストに招き、トピックに沿ってアイデアブレストを行った。
今回のゲストスピーカーはこちらの4人。

今村 直樹氏
「うみやま葉山」主宰・株式会社うみのほし代表取締役。
マリンエデュケーター、ライフコーチ、レーシングカヤック日本代表、2005〜2008 年アウトリガーカヌー世界大会「MOLOKAI HOE」出場。オーストラリアから帰国した2014 年に自然学校「TIDE POOL」を設立し、2022 年現在まで、小学生を中心とした子どもたちに自然を通じた学びを届けている。
2017 年、星山プロジェクト始動。「葉山の海と山のつながりを意識した環境教育を多世代に伝えたい」という願いを星山の森で実践し始める。近年はライフコーチとして、個人や企業研修に様々なアクティビティを通じた独自のセッションも行っている。

野中 径隆氏
登山ガイド(かながわ山岳ガイド協会所属/日本山岳ガイド協会登山ガイドステージ2)、ガイド事務所「Nature Guide LIS」代表。
主に12-4月の冬季を中心に、鎌倉・三浦エリアでのハイキングツアーを開催。初心者でも安心して参加できる少人数制のガイドツアーを丹沢や八ヶ岳やアルプスで開催、講習会は全国各地で実施。著作に「山の快適歩行術」「バテない登山技術」(共に山と溪谷社)。

山口 浩也氏
有限会社コアアウトフィッターズ代表。
横須賀で産声をあげ成人を迎えるまで地元を満喫!わけあって横須賀に別れを告げ、生活改善の為ひとり長野の山へ。その頃日本はバブルに浮かれていたがボクの財布は空っぽ。山と湖と川と厨房で人生を模索。アウトドアでの楽しさを訪れる人に伝える楽しさを知り海にUターン。1994年、片手にのこぎり、片手にパドルを持って店をオープン。今ではたくさんの笑顔にささえられてコアアウトフィッターズとともに歩んでいます。その他に(一社)日本セーフティパドリング協会(JSPA)代表理事、海上保安庁 海の安全推進アドバイザー、(一社)横須賀市観光協会会員など。

金澤 等氏(通称ジョン)
株式会社kaneyo art studio代表取締役。漁師。造形作家。「海とみらいのがっこう」発起。
10代~20代前半は日本と海外で波乗りに明け暮れ、浜辺に転がる流木を集めて作品作りに没頭。それまでの経験から見えたビジョン、手先の器用さが相まって、漁師小屋をセルフリノベーションし、2003年、かねよ食堂として開業。浜辺のバラックをアートに変えたような手作りな店は、多才で多彩な仲間たちの支えにより繁盛店に成長。コロナ禍の直前には年間4万人の来客を記録するに至り、本年で22年目。現在は漁業との連携を色濃くし、地域環境を学びの素材にした教育事業「海とみらいの学校」を発起。NTT東日本・地域循環型ミライ研究所と協働し、漁業体験、イベント、ワークショップ、小学校などの海の学習の受け入れなどを中心に、活動を行う。
地域活性化の鍵は「持続可能性」──課題と解決策を探る
各ゲストからは、「人手不足」や「観光と自然保護のバランスの難しさ」など、地域が直面するさまざまな課題が挙げられた。その議論を深める中で、共通する課題として浮かび上がったのは、「地域の自然や文化を守りながら、持続可能な形での活性化を進める必要がある」という点だ。
この課題に対応するためには、地域資源を生かしながら未来につなげる仕組みが求められる。議論の結果、エコツーリズムの推進、地域内外の人材活用、ルール作り、デジタル技術の活用、持続可能な開発など、複数の対策を組み合わせていくことが重要であるという結論に至った。

また、参加していた大学生からは、人手不足に関して興味深い意見が出た。「大学生をもっと地域に呼び込むことができないかと強く感じた。大学生は活力があり、地域に配慮し協力的であれば大きな力になるはず」。この言葉には、多くの参加者が頷いた。確かに、地域の現場で実際に学び、働く機会を作ることで、学生にとっては実践的な経験となり、地域にとっても貴重な労働力の確保につながる。
地域の未来を支える連携ー三浦半島の持続可能な発展に向けて
そして後半は、「それぞれ連携できたらいいと思うところ」をテーマにディスカッションを実施。

それぞれが持つリソースをどうつなげていくかについて、活発な意見が交わされた。その中で、ゲストたちが共通して認識したのは、「三浦半島の自然を好きになってもらい、守る人を増やすことが重要」という意識だった。
この想いを形にするべく、新たな企画案として 「海・山・食の活動を組み合わせた『三浦半島まるごと体験ツアー』」 が提案された。このプログラムでは、連休などを活用し、参加者が異なる体験を通して三浦半島の魅力を五感で感じられる内容を計画。観光客だけでなく地域住民にも参加してもらうことで、地域への理解と愛着を深め、持続可能な観光と自然保護の両立を目指す。
専門性を活かした持ち合い型の連携で、自然を守る人を増やすための「ファンづくり」を進めることが、今後の鍵となるだろう。

三浦半島の自然環境を守り、豊かな地域社会を築いていくためには、様々な団体が一丸となって連携して取り組むことが欠かせない。各団体が持つ知識や技術、人脈を活かし合い、地域の課題に対処していくことで、三浦半島の未来を支える持続可能な連携が実現できる可能性がある。
今回の連絡会議を通じて、その可能性を見出せたことこそが、大きな成果のひとつだ。今後、具体的なアクションを起こしながら、より実践的な取り組みへと発展させていくことが期待される。

Staff Credit
Written by Kaito Nakahigashi
Written by Kaito Nakahigashi