鴨居、梅山交差点の急な坂を上り切った先。閑静な住宅街にひっそりとたたずむのが、帆布バッグブランド『ueyama canvas』の工房兼ショップ『CANVAS』だ。なんともキャラの濃いオーナー自らが内装を手がけた店内には、カラフルな配色が特徴の帆布バッグや、こだわりの雑貨が並んでいる。
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店内に一歩足を踏み入れると、パッと目を引いたのはカラフルな配色の鞄たち。オーナーのueyamaさんがデザインから縫製まで全てを1人で手がける『ueyama canvas』の帆布バッグだ。
「帆布の鞄は、落ち着いた色合いのものが多い。だから、もっと明るい色を取り入れたほうが、作っているときも楽しいし、見る人、持つ人にも楽しんでもらえるんじゃないかなと思ったんです」
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国内産の帆布をベースに、発色のよいポリエルテルなどの異素材を組み合わせて作る。自身の出身地である岡山県倉敷産の真田紐を材料として取り入れるなど、自由な発想でもの作りを純粋に楽しむ姿勢が、一つひとつの鞄からも伝わってきた。
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そんな、見るだけで思わず笑顔になってしまう1点ものの鞄は、店内の工房で作り上げられている。
「来てくれたお客さんが工房を見て『ここで本当に作っているんだね』と言ってくださるんです。買うことも1つの体験だけど、もの作りに触れる体験の場になれたら嬉しいです」
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お店に並ぶのは、『ueyama canvas』の鞄だけではない。和紙で作られた小物や奈良で作られた靴下、神戸のマッチメーカーと淡路島のお香メーカーがコラボして作られたマッチ式のアロマスティックなど、ueyamaさんが「本当にいい」と思ったアイテムが店内を彩る。なかには、横須賀ではここでしか取り扱いがないアイテムも置いてあった。
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「横須賀って、セレクトショップが少ないんですよね。だから、プレゼントを探そうと思ったら、横浜に出るか、大手の生活雑貨店で選ぶことになりがち。わざわざ横浜に行かなくても、気の利いたギフトが選べるお店として足を運んでもらいたいなと思って」
もともと大手ファッションブランドやセレクトショップで働いていたueyamaさん。なぜ鞄職人を目指したのか聞いた。
「いつか独立して何かをやることに憧れがあって。そんなとき、職人のこだわりが詰まった1つの鞄に出会ったんです」
デザインはもちろんのこと、鞄を通して感じられる職人の生き方にも感銘を受けた。会社に通いながら約1年をかけて鞄作りを学校で学んだ後、横浜市中区黄金町で活動を行っているNPO法人黄金町エリアマネジメントセンターのアーティスト・イン・レジデンスプログラムに参加。2013年に黄金町のスタジオで活動をスタートし『ueyama canvas』を立ち上げた。
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帆布は、革と比べて生地の厚みのバリエーションが豊富。職業用ミシン1台あれば制作が始められたことから、独立後いきなり大きなリスクを取らなくて済んだという。
お店の内装は、店舗の内装をやっていた師匠にお願いして、そのほとんどを2人で手がけた。当時を振り返りながら、大変すぎて師匠が機材を置いて突然いなくなったエピソードを笑いながら話してくれたueyamaさん。
手作りのあたたかみが感じられる店内は、まるで『大人の秘密基地』のようなワクワク感が漂う、特別な空間だ。
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店内でお話を伺っていると、「これ使ってみてよ」と急な来客が。お店の向かいに住む男性がueyamaさんにと、おすすめのハンドジェルを持ってきてくれたのだ。
「このあたりって、こういうのがしょっちゅうなんですよ。神奈川県の中にあるのに、昔ながらの人付き合いがまだ残っているっていうのが、おもしろいですよね」
聞くと普段お店には、近所に住むおじいちゃん、おばあちゃんがおしゃべりにきてくれるのだとか。長年鴨居の地で暮らす地域の方々とのおしゃべりは、ueyamaさんにとってとても大切な時間になっている。
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黄金町のスタジオで活動をスタートした後、2016年からは三浦海岸に工房を構えて活動を続けていた。そんななか芽生えたのが「作った鞄が見せられるようなお店を持ちたい」という思い。神奈川県内の物件を探し回ったが、希望を満たしてくれる物件とはなかなか出会えなかった。
たまたま見つけたこの物件に惹かれた理由は「お客さんがたくさん来るような町中じゃなく、住宅街の中にあって制作に集中できそうだと思った」から。こうして、2019年から鴨居での活動がスタートした。
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「暮らしやすさは『人のよさ』だと思う」と語ってくれたueyamaさんにとって、「人のあたたかさ」を強く感じるようになったのは、鴨居に移り住んでからだという。
子育てをする親目線でも、近所の人がみんな知り合いのような間柄で「見守ってくれている」という安心感もある。
制作のかたわら、イベントへの出店やInstagramでの発信にも力を注いでいる。「外に出ることで、自分の活動や横須賀をもっとアピールしたい」という思いからだ。
今ではイベントへの出展がきっかけで、名古屋からわざわざ訪ねてくるお客さんがいるほど。
「まずはueyama canvasのファンですって人を増やすこと。そして、ファンを超えたマニア、『ウエヤマニア』を増やすことが、今の目標です」
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ueyama canvasのインスタグラムをのぞいてみると、思わずクスッと笑ってしまうような投稿が多い。
「毎日同じような鞄の写真が投稿されていても、印象に残らないじゃないですか。ちょっとでもおもしろいことをして、人の目にとまるような発信をしていきたいんです。最近は、テレビを見ても心が落ち込んでしまうような話題ばかり。だから、僕みたいに1人くらいふざけている人がいて、それを見て少しでも元気になってくれる人がいてくれたらいいなと思っています」
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周辺の個人商店が少しずつ店じまいをしていく。
そんななか、「ここでつぶれずに頑張ることが、『こんな場所でもビジネスができるんだよ』ってことの証明になると思うんです」と、ueyamaさん。
『CANVAS』を拠点に、楽しみながら新たな挑戦をする人や、そんな人を応援する人たちの輪が広がっていってほしい。
CANVASで購入できる、ueyama canvasのバッグと素敵なセレクトアイテムたち
![DSC09902](https://knot-magazine.jp/wp-content/uploads/2024/03/DSC09902-1024x683.jpg)
![トートS(手前)、トートL(奥)](https://knot-magazine.jp/wp-content/uploads/2024/03/DSC09654-1-1024x683.jpg)
![使い勝手の良いショルダーバッグ](https://knot-magazine.jp/wp-content/uploads/2024/03/DSC09651-1024x683.jpg)
![結び目(KNOT!)が可愛い巾着袋](https://knot-magazine.jp/wp-content/uploads/2024/03/DSC09675-1024x683.jpg)
![巾着トートもあります](https://knot-magazine.jp/wp-content/uploads/2024/03/DSC09678-1024x683.jpg)
![小物を入れるのに便利なポーチ](https://knot-magazine.jp/wp-content/uploads/2024/03/DSC09756-1024x683.jpg)
![山梨の和紙製品ブランドSIWA](https://knot-magazine.jp/wp-content/uploads/2024/03/DSC09686-1024x683.jpg)
![奈良の"西口靴下"](https://knot-magazine.jp/wp-content/uploads/2024/03/DSC09735-1024x683.jpg)
CANVASで購入できる、ユニークなアイテムたち
![DSC09696](https://knot-magazine.jp/wp-content/uploads/2024/03/DSC09696-1-1024x683.jpg)
![DSC09698](https://knot-magazine.jp/wp-content/uploads/2024/03/DSC09698-1024x683.jpg)
![DSC09850](https://knot-magazine.jp/wp-content/uploads/2024/03/DSC09850-1024x683.jpg)
![DSC09849](https://knot-magazine.jp/wp-content/uploads/2024/03/DSC09849-1024x683.jpg)
![DSC09742](https://knot-magazine.jp/wp-content/uploads/2024/03/DSC09742-1024x683.jpg)
![DSC09637](https://knot-magazine.jp/wp-content/uploads/2024/03/DSC09637-1024x683.jpg)
Staff Credit
Written by Manami Nagase
Photographed by Io Takeuchi
Written by Manami Nagase
Photographed by Io Takeuchi